自分を壊さないように。自分を壊すために。


私はたぶん、自分を律する力が強いのだと思う。

ここ数年、逸脱行為は減っている。


リストカットをしない。

薬物の過剰摂取をしない。

昼夜逆転生活をしない。


ストレスはありあまるほどあったが、とにかく毎月、毎年、仕事に必ず締め日が存在していたので、その仕事をするためには逸脱行為をする暇がなかった。やったら仕事が回らないからだ。

とはいえ、背負っていたものが重たすぎて、途中からトチ狂ったけれど。


親という子供みたいな人たちを背負っていた。「あなたがいないと生きていけない」と訴える親だった。

小さな小さな会社を背負い、親を背負い、仕事を回し、運営していた。



締め日をとおりこすと一週間ほど倒れ、二週間目で雑務をこなし、また次の締め日にそなえて動きだす。

誰も助けてくれないし、むしろ自分が親を助けなければならなくて、幾度となく暴走しかける感情を抑えこみ、数年かけて仕事を軌道に乗せた。


二十代後半から三十代前半、ほとんど仕事に費やしてきた。

仕事そのものは楽しかったので、やって良かったなと思っている。

基本的に事務をしていたが、さまざまな異種職の人とかかわれた経験は私の人生を豊かにした。三十代前半という時期に、誰か(他の会社)と連携して業務をこなしたことや一人暮らしをしたことは、私にもそれなりの責任感を芽生えさせてくれた。



が、しかし、あれだけ頑張ってきたのだが、外野からのわけわからない行動と言動により、今の私には仕事もなくなったし親も家族もいなくなった。

おかげで自分を律する必要がなくなった。

人生、しばらくおやすみの時間も必要だろう。


こうしておやすみの時間を過ごしているが、自分を壊さないようにする力は意外と手強い。

三十五歳という年齢もあり、過剰摂取や自傷行為につきまとう処理が面倒なのだ。



過剰摂取すると一日か二日、薬の副作用でフラフラしながら日中活動の時間を減らすことになる。

食べ物はあるか?飲み物はあるか?病院は空いてるか?やるにしても計画的に過剰摂取しなきゃならない。

衝動を抑制できないから自己破壊行動をおこすのだが、衝動に身を任せるためには準備が必要になる。


自傷行為をすると服装の自由がきかなくなる。あとティッシュの消耗品の費用がかさむ。タオルは洗わなきゃならない。お金がかかる。

ひとりで血のあとがついたタオルを洗うなんて。洗濯洗剤も無料じゃないのに。



そう考えると、なかなか自己破壊的行動がおこせなくなる。

人によってはキツく感じるだろうが、過剰摂取や自傷行為は子供らしくうつる。あと、ストレスを回避する方法はもっとあるだろうと思ってしまう。


とはいえ、程度の問題だが、私はもう少し自分を壊したほうが楽になれると思う。

それこそ薬の過剰摂取くらいしたほうが、まだ良くなるかもしれない。人間関係でつまずいてしまうから、薬でフラフラになってたほうが身動きできなくなる。不必要な言動をとってしまって、のちのち悩むはめにならないだろうに、と。